「Surfer’s Interview #15」朝比奈 勇 2021.2.19 | COLUMN

不定期でお送りしている「Surfer’s interview」ですが、第15弾となる今回からは
バトン形式ではなく、今もっとも迫りたいsurferにスポットをあて、仕事の流儀やパーソナルに関することをお聞きしていきます。
northshoreにはどんな人がどんな想いで働いているのか、より深く皆さんに知っていただければと思います。

今回お話をお聞きするのは、2021年1月にjoinされたコンサルディングプロダクションディビジョン所属の朝比奈 勇(あさひな・いさむ)さんです。

【異色の経歴。『プロデューサー朝比奈勇』ができるまで】

―northshoreではsurferにニックネームを付けるのが恒例ですが、朝比奈さんのニックネームは「軍曹」ですね! これは以前から呼ばれていたそうですが・・・

そうなんです。『サラリーマン転覆隊』という広告関係者が中心のカヌーチームに所属した際に、僕が陸上自衛隊出身のプロデューサーということで、チームの隊長が「軍曹」と呼び始めたんです。そしたら皆も僕のこと「軍曹! 軍曹!」って呼びだして、仕事先でもこのニックネームが定着していって、今では空手の仲間も「軍曹」って呼ぶんです。いつの間にか「朝比奈」って呼ばれなくなっちゃった(笑)

―いま自衛隊出身とおっしゃいましたが、そこから広告業界とは珍しい転職だなと思いました。プロデューサーの道に進まれたきっかけは何でしょう?

自衛隊にいた頃は輸送隊という部署で大型車の運転もしていました。車を運転する事が好きだったので、退職した際に最初はロケーションコーディネーターやドライバーの仕事をしたんです。そこでまず色々な制作会社や人との出会いがありました。

―当時から、かなりの数の広告やグラフィックの制作に関わられていたと伺いましたが

そうですね。大手出版社のファッション誌などの撮影現場にも行きましたし、国内の有名企業のTVCM撮影に同行して500本余りの現場経験を積みました。
そこで1988年に、ロケーションコーディネーターとして独立するため、単身アメリカに渡ろうと考えたんです。それが一番大きなターニングポイントですね。英語、喋れなかったんですけど・・・

―え!? 喋れないのに一人でアメリカへ!?

「映画の都はハリウッドだ」と思って。当時つきあいのあった現地コーディネーターを訪ねて行ったんですけど、向こうでいざ働くとなると手続きの問題や言葉の壁もあって。でもせっかく渡米した訳なので、そこからは見聞を広げるために『アメリカ大陸横断の旅』に切り替えました。

―急きょ現地で目的を変更されたのですね。それにしても大陸横断ですか・・・!

その頃は若かったので、大陸を縦横断しているグレイハウンドバス(安いバス)に乗って旅をしていました。
各地で本当にいろんな経験をしましたよ。ラスベガスで一山当てたり、バスのチケットが無くなって夜道でヒッチハイクしたり、インディアンと出会って一緒に馬で旅したりね! 向こうの友人には「体験記を本にした方がいい」と言われた位です(笑)

―そうした経験が後々の仕事に影響を与えたのでしょうか。

うーん。仕事というか人生論みたいな話なんだけど・・・
一人旅って誰も頼る人間がいないし、全部自分で判断が必要じゃないですか。
周囲の色んな人が色んな事をアドバイスしてくれるけど、最終的に決めるのは自分なんだよね。自分の決断に責任とらなきゃいけない。
『色んな人との縁は大事にしつつ、自他共に挑戦して成長する』。これが僕の信念だったりするんだけど、最後は自分で決めなきゃいけないから、明日死んでも「あー面白い人生だった」と悔いが残らない生き方をしなきゃいけないな、って思うようになりました。

―決断と責任。まさにプロデューサーに求められる部分だと思います。

【プロデューサーとは『励まし係』】

―帰国後、TVCMの企画製作会社でプロデューサーとしての道を本格的に歩み始められた訳ですが、今までで印象に残っている案件はありますか?

長年やってると沢山あるけど、ある車のCMを撮影するために海外ロケした時かな。現地で車を走らせるシーンで、演出部分の意見が割れたんです。「道路に水を撒きたい」という意見と「道にセンターラインを引きたい」という意見。
予算がなくて両方は無理なんだけど、どっちの意見も引かないから揉めちゃって。

―どうやって収めたのですか?

揉めていても進まないので、その時は両方やりました。ただ予算は限られている訳なので、まず絶対にプロ任せになる「センターラインを引く」という部分にお金を使って。道路に水を撒くというのは素人でも何とかできそうだったので、水を汲み上げる機械を調達して、現場近くの湖から給水して撒きました。

―機転が大事ですね。色んな所で起こる問題のボトルネックを瞬時に見つけてうまく流れを作ったり。

プロデューサーは特にそうかな。監督やカメラマンのような職人に勇気を出させたり、励ましたり、時には怒ったり、おだてたり(笑)色々やりながらね。

―朝比奈さんにとって、プロデューサーという職業を一言で説明すると何ですか?

娘が小学校の頃に「お父さんの仕事って何?」って聞いてきた事があって。プロデューサーだと答えたら「どういう事やってんの?」と。その時に「プロデューサーってのは『励まし係』なんだよ」って答えましたね。
皆が困っている時に「大丈夫だよ」「元気出していこう」「OKだよ」って人を盛り立てて励ます係なんだよって。

―なるほど。励まし係!

そしたら「へー。お父さん、励ましてお金もらってるんだ。すごいね!」て言われましたけど(笑)

【次代のプロデューサーに伝えていきたいこと】

―いまインターネット技術が発展したおかげで、若いうちから何でも簡単に疑似体験できちゃいますよね。それって手軽で良い反面、つい自分が興味のある狭い範囲で、出会う人の数も少なくて満足できちゃう世の中になっているなと思うんですが

うん。異業種の人々とも付き合った方が良いと思うんだよね。
例えば就職が決まった若者って、ついその業界の中だけでお付き合いが終わっちゃう。それがもったいないなと思っていて。
全く違う業界の人たちとふれあうのも、最終的には自分の肥やしになると思います。マイナスになる事はない。特に若い人には、色んな人とコミュニケーションをとってもらえればいいなと思います。

―何でも検索して調べられるから便利になったけど、実際に歩き回って体験する事が減った気がします。足を使って調べてないから、間に紹介者も入らないし人の縁も広がりにくい・・・

飲食店だってそうですよね。僕らの若い頃って、先輩に紹介されたり自分で飛び込んで馴染みの店を作っていく。値段とか味とか接客とか、自分が体験して判断していく訳ですよ。
でも今って飲食の紹介サイトとか、自分は行った事なくても点数の評価があって。店を紹介してくれた人に「ここ美味しいの?」って聞いても「いや、行った事はないです」みたいなやり取りがある(笑)
非常に便利になったとは思うんですよ。でも便利になった分、デジタルのリテラシーが高いだけではなかなかこの先、生き残れないんじゃないかなと。
だからこれからプロデューサーを目指していく人達には、こういう事を考え直すこともしつつ、デジタルの強みをどう活かしていくのかが重要になっていくと思います。

―どんな業界でも偉くなっていくと現場から遠のく場合が多いと思いますが、朝比奈さんはいまも最前線で活躍されていますよね。
ここまでお話を伺って、その秘密は今までに鍛え上げられた行動力にあるのかな? と思いました。


そうですね・・・。どうしてもポジションが上がっていくと「誰かがやってくれるだろう」という俯瞰的なものの見方になって、胡坐をかいちゃう。そうなると組織もダメになっちゃうと思うんですよね。
だから易きに流される事なく、分別なく自由にプロデューサーとして動き、縁した人と共に成長してハッピーになれたらいいかなと思います。
現場から離れると、ぶっちゃけ面白くないんですよ(笑)やっぱり根っこがプロデューサーとして生きてるから。

―これからプロデューサーを目指す若者に必要な事って何だと思いますか。

身につけてほしい力を挙げるなら4つあります。
1 「何故それが大事なのか」を、明確な根拠を示しながら理路整然と説明する『説明力』
2 聞く人の心をゆり動かす『一途な情熱』
3 斬新で、新しい波動を起こしてきたという確かな『実績』
4 すぐに諦めたり挫折しない『粘り強さ』
これらを謙虚な心で学びながら、立派なプロデューサーに育っていって欲しいです。

【『できないこと』ではなく『できること』を見つける】

【『できないこと』ではなく『できること』を見つける】

―northshoreへjoinして、今後やっていきたい事は何ですか。

大きな組織でスタッフが多いと、先に言ったように「誰かがやってくれるだろう」という気持ちが出てきて、本気で頑張らなくなる。そうした感覚に陥るのは停滞だと思います。
そうならないよう、これから拡大していくであろうnorthshoreの短所や弱みを、魅力ある強みに変えていけたらと思います。
また、人材や財務がしっかりしていて、デジタルリテラシーが高い若手スタッフもいます。これから自分の経験や知見、人脈力でスタッフ育成をしながら、共に挑戦しようと思っています。

―最後に、世の中がいま変化しつつある中で朝比奈さんが感じられている事を教えてください。

戦後75年余り、流行中のウイルスがもたらした変化によって、世界は激動の時代を迎えました。でもこうした「危機の時代」だからこそ、未来をひらくためのビジョンだとか哲学、強い信念、仲間との希望の連帯が求められていると思います。
状況に飲まれて流されていくのか、立ち向かって改革していくのか・・・。そういう課題があると思います。
僕もリモートワークが多くなった中で、家庭とか生活とか、自分にとって本当に大事なものは何か。どう生きるべきかを考えさせられました。

「できないこと」が強調されがちですけど、そうではなく「これもできる」「あれもできる」と「できること」を見つけていく中で、自分の『新しい日常』を模索して、日々、価値創造して行きたいと思います。

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仕事をする上で大事にしているのは、感謝と誠実さだという朝比奈さん。
その人柄が少しでも伝わればと思います。
northshoreでは案件のsurfer指名も承っておりますので、ぜひお気軽に問い合わせください。

<Photographer:藤原>

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